コラム

2016-08-02

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「子どもがケンカで大けが。責任追及したいが」

2016/8/1(月)13:30~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「子どもがケンカで大けが。責任追及したいが」

子ども ケガ 相談 広島 弁護士

子どもがケンカで大けが。責任追及したいが

Q: 今月は、皆様からいただいた「身近に起こったトラブル」について、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日も、よろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今日は、35歳の女性から、メールをいただいています。ご紹介しましょう。
 「私には小学校4年生になる息子がおります。
 夏休みになって、毎日出かけて友達と遊んでいたのですが、先日ゲームを巡って友達の一人とケンカになったようです。
 その友達に押し倒されて、地面に手を付いた際に、手首を複雑骨折する大けがをしました。
 息子の話によると、口げんかをしていたが、友達が突然、息子を押し倒したようです。
 その友達は私も知っている子であり、ご両親も知っています。大げさなことにはしたくはないのですが、このまま黙っているのも我慢ができません。
 私はどうすれば良いのでしょうか。」

という内容です。
 江さん、この相談者の方は、息子さんの怪我の責任を問いたいようですが、このような場合どのように対応すればいいのでしょうか。
 教えてください。

A: はい。
 具体的な対応をどうするかは後に述べることとしますが、まず、法的には誰にどのような権利・義務が生じるかと言うことを説明しましょう。
 怪我を負わせた友達には、息子さんに対して、息子さんが被った怪我の治療費や慰謝料などの損害を賠償する義務が生じる可能性があります。
 息子さんにはそうした権利が発生する可能性があるということになります。
 ただ、こうした未成年者が加害者となる場合には、加害者本人に責任が発生しない場合があるので、注意が必要です。
 このような加害者が負う賠償責任は、法律上、不法行為に基づく損害賠償責任と言われるものですが、未成年者の場合は、自己の行為の責任を弁識するに足りる知識を備えていないときは、賠償責任を負わないとされているからです。
 民法712条です。

Q: 今言われた「自己の行為の責任を弁識するに足りる知識」とはどういうことですか?

A: そうですね。
 自分の行為が、違法なものとして法律上非難されるものだということを理解している・・・ということですが。

Q: う~ん、わかったような、わからないような(笑)

A: まあ、もっと分かりやすく言うと、自分の責任が追及されるということを理解できているということでしょうかね。
 法律的にはこれを「責任能力」と言っています。
 判例ではだいたい小学校を卒業する12歳を超えると責任能力あり、とされているようです。
 ただし、古い判例ですが、12歳でも責任能力を否定したものもあります。
 要は、ケースバイケースということです。
 ご相談の件では、怪我を負わせた友達が小学生であれば、責任能力ナシとして、損害賠償責任を負わないことになる可能性が高いと思います。

Q: 怪我をさせた本人は法律上損害賠償責任を負わないとすると、誰に対して責任追及ができるのですか。
 その親御さんでしょうか。

A: 正解!です。
 正確に言いますと、加害者、この場合は友達ですが、友達の「監督義務者」ということになります。
 すなわち、被害者は、未成年者の監督義務者に対して損害賠償責任を追及できることになります。
 監督義務者としては、多くのケースにおいて、加害者のご両親になると思いますが・・・。

Q: 監督義務者が両親でない場合とはどんな場合があるのですか。

A: 両親でない人(例えば祖父母)が本人の親権者になる場合の親権者や、両親でない人が本人の後見人になる場合の後見人ですね。
 まあ、両親あるいはそのどちらかである場合が多いとは思いますが・・・

Q: なるほど、良く分かりました。
 未成年者で責任能力がない者に対しては、いつでもその監督義務者の責任を追及できるといって良いのでしょうか。

A: はい、例外があります。
 責任能力がない人のことを「責任無能力者」といいますが、責任無能力者の行為について、監督義務者が責任を負わない場合もあります。
 法律(民法714条)では、このように記載されています。
 「ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」
 今回のご相談の例でいいますと、加害者のご両親が、子どもが相手を突き倒して怪我をさせないように監督する義務を怠らなかったということを証明できなければ、あるいは、そうした義務を怠らなくても損害が生じたということを証明できない限り、ご両親は賠償責任を免れないことになります。

Q: 江さん、監督義務を怠らなかったことの証明といっても、この証明は、結構難しいのではないですか・・・

A: おっしゃるとおりです。
 裁判になった場合には、監督義務を怠らなかったことを加害者の親が立証しなければなりません。
 とても困難なことが多く、実際の裁判例では、ほとんど監督義務者の責任の免除は認められていません。

Q: そうすると、このご相談の場合も、怪我をさせた友達の両親の損害賠償責任は避けられないということになるのでしょうか。

A: おそらく、そのようになると思います。
 このご相談者の場合には、被害者である息子さんは、加害者友達のご両親に対して、被った損害について賠償請求することが可能となると思います。
 ただし、息子さんはまだ未成年ですから、請求するのは息子さんの親権者である相談者ということになります。

Q: 今回の大けがについて法律的にどうなるのかは、よく分かりました。
 江さん、具体的には、この相談者の方、どのようにすれば良いのでしょうか。

A: はい、慰謝料を含めた賠償金額がどうなるのかについては、一般の方はよく分からないと思います。
 ですから、その道のプロである弁護士なりにまずは、ご相談されることをお勧めします。

Q: なるほど、やはり弁護士にまずは相談ということですね。

A: そうですね。
 賠償金額の計算に当たっては、例えば、こちらの息子さんにも非がある場合もあります。
 そうすると、「過失相殺」といって、損害の内の一部は当方で負わねばならないこともあります。
 その過失の割合の判断も素人では難しいかもしれません。

Q: なるほど。
 相手方との交渉は弁護士に頼んだ方が良いのでしょうか。

A: これは、当方と相手方との関係がどうかにも寄ります。
 弁護士を入れると大げさになると思われるかも知れませんが、公平な解決のためには、そして、今後のつきあいのためにも、その方がお互い納得できるのではないかと思います。

Q: そうですね。
 弁護士をもっと身近に感じていただき、気軽に頼めるような雰囲気になると良いですね。

A: はい、そう思います。

Q: 今日は、江さんに、「子どもがケンカで大けが。責任追及したいが」というご相談に答えて頂きました。
 いろいろなご相談がありましたら、是非、山下江法律事務所まで、お電話ください。
 では、お問い合わせ先です。
 山下江法律事務所のご相談予約のフリーダイヤルは0120-7834-09 0120-7834-09
 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 ただいま、個人の方についての無料相談実施中です。
 また、今日の番組の内容は、まちの専門家をさがせるウェブサイト「マイベストプロ」でもご覧いただけます。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ 
「請求書を出し続けていれば時効にかからないか?」について
2016/8/8 13:30~13:40 FMちゅーピー(76.6MHz)

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