コラム

2016-05-26

親への仕送りや借入れの返済は婚姻費用や養育費を決めるとき考慮されますか?

 婚姻費用(生活費)や養育費の金額を決めるにあたっては、夫婦双方の収入を元に考えていくことは以前にお話しました(「養育費を支払う側・支払いを受ける側の収入」「生活費の支払いの話がつかないとき」)。
 具体的な月々の金額がいくらかをみる上では、婚姻費用(養育費)算定表を参考にしていきますが、算定表を作成するにあたって考慮されているもの(住居費・光熱費・医療費・学費・税金・交通費など)以外にも、日々の生活の上で支出しているものがあります。
 例えば、親が収入が少なく、年金を受け取る年齢になていないので、生活を援助するため仕送りをしている、あるいは生活をする上で必要なものを収入だけでは賄えないため、金融機関から借入をしていて、その返済額が支出のそこそこを占めている、といった場合です。
 このような、婚姻費用算定表・養育費算定表では考慮しきれていない事柄について、婚姻費用(生活費)あるいは養育費の金額を決めるにあたって、考慮してもらえるのでしょうか。

親への仕送りは基本的には考慮されないことが多い

 まず、一方が収入の一部を親へ仕送りしている、といった場合ですが、基本的には婚姻費用(生活費)あるいは養育費を算定するにあたって考慮されません。
 それというのも、収入が多い側は他方や子供たちとともに、親に対しても扶養義務はありますが、その中身は違うと考えられているからです。つまり、夫婦の一方から他方、あるいか子供たちに対する義務は、生活保持義務といって、自分の生活と同じくらいの水準の生活ができるようにする義務があると考えられています。これに対して、親に対する義務は、生活維持義務、つまり自分の生活を犠牲にしない範囲で、親が最低限の生活を維持できるようにする義務にすぎないとされています。ですから、夫婦の一方や子供達に対して負う義務の方が、より高い義務とされているのです。
 そのため、優先順位としては、まず夫婦の他方と子供達が、自分と同じレベルの生活が送れるようにするべきということになります。ですから、たとえ親への仕送りがされていたとしても、夫婦の他方や子供達が自分と同じだけの生活を送れていて、なお余剰があるときにすべきとなります。
 ただし、夫婦の別居前から支払いをしている側と親が同居していて、夫婦の他方や子供達に対する生活保持義務と同じくらいの負担を続けている実績があると、考慮されることもありえます。
 いずれにしても、最終的には個別の事案に応じた判断となるでしょう。

借入れの返済は借入れ目的により考慮されることも

 これに対して、収入が多い側が、借入れの返済の負担がある、といったときはどうでしょうか。これは、借入れ目的がどういったものかによって異なってきます。
(なお、住宅ローンの返済の場合は「婚姻費用と住居費(1)」

 借り入れ目的が、収入が足りないので、生活費や教育費に補填するためであった場合は、一方が金融機関から借り入れをし、それを生活費に回すことで、他方配偶者や子供達も生活を維持できているといえます。ですから借金の返済額もいくらか考慮して、婚姻費用(生活費)や養育費の金額を決めていくことになります。
 これに対して、借入れ目的がもっぱら自分がブランド品を購入したり、旅行やギャンブルなど私的なものに充てるためであったときは、借入れの返済よりまずは他方配偶者や子供達が自分と同じ基準で生活できるようにするのが先となるので、考慮されないのが一般的です。

 要は、借り入れた金額が、生活費の一部に充てられる場合のように、夫婦や子供達の生活にも回っていれば、その返済学も他方配偶者の負担分の範囲で考慮すべきとなりますが、他方配偶者や子供達が恩恵を受けていないものの支払いをするために、他方配偶者や子供達の生活よりも優先されるべきではない、といえるでしょう。


 そろそろ梅雨のはしりのような天候が多くなってきたような気がします。そんな天候のなかでいきいきと花を開いているのが夏の季語の紫陽花です。紫陽花の花言葉は実に色々とあるようですが、いい意味の代表的なものが「一家団欒・家族の結びつき」、この写真のような赤い紫陽花は「元気な女性」だそうです。

道端の紫陽花

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