コラム

 公開日: 2016-05-12 

有責配偶者からの離婚請求と財産分与

 有責配偶者からの離婚請求は男性(夫)、女性(妻)側いずれのケースもありますが、どちらかといえば収入のより多い男性から起こされることが多い印象があります。
 そのため、分与対象となる共有財産も預金以外は男性名義になっていることが多いので、離婚請求のみが一般的で、離婚請求とともに財産分与の申立をしているケースは多くないように思います。
 仮に有責配偶者から離婚請求と併せて財産分与請求がされたとして、離婚請求が認められたとき、財産分与の申立も認められるでしょうか。

有責配偶者からの離婚請求を認めるかの要件と財産分与との関連

 以前お話しましたように、有責配偶者からの離婚請求を認めるかの判断には主に以下の3つの要件を考慮することが多いです。
 すなわち、
①年齢・同居期間と比べ相当長い期間別居 
②未成熟の子どもがいない場合(未成年よりは広い)
③離婚により、(有責でない)他方配偶者が、精神的・社会的・経済的に苛酷な状況におかれるといった、離婚請求を認めるべきでない特段の事情がないとき
には、離婚を求める配偶者が有責であっても認められるという枠組みです。
 なお、その後、最高裁判所の判断でさらに別居後に新しくできた生活関係(内縁関係ができている場合、相手や子供の状況など)や時の経過が与える影響も考慮しないといけない、とするものが出ています。

 有責配偶者からの財産分与の申立であれば、いわゆる清算的財産分与(夫婦が共同生活を行う中で互いに協力し合って築き上げたといえる財産を、離婚に伴って清算する場合)としての意味合いであると思われます。その場合は、有責か否かにかかわらず、共有財産があれば寄与割合に応じて分与を認めてもよいように思えます。
 ただ、先の判断枠組みによれば、財産分与を認めるかどうかという点は、③の他方配偶者への特に経済面への配慮と関係してきます。
 ですから、有責配偶者からの離婚請求を認めるにしても、今後離婚により他方の配偶者がたちまち生活に行き詰まっらないように配慮すべきです。
 財産分与の際には、前述の清算的財産分与だけでなく、ことに離婚後の他方配偶者の生活保障としての扶養的な財産分与も含めて考慮されるのであれば、離婚後生活費が受け取れなくなったあとの他方配偶者が生活に困らないような手当もできることになります。
 ただ、他方配偶者が離婚に応じないといって争っているときは、財産分与に関する主張をあげることで、離婚前提と見られてもと、どういった財産がお互いあるのか、金額的にどれだけかという話が十分に出てこない場合もあります。
 そうなると、裁判所が判断しなければならなくなったときに、基本的に有責配偶者からの主張や証拠に基づく判断になってしまい、共有財産として本当に明らかになっているのかわからないまま、出てきている限りでの清算となってしまう可能性もあります。
 財産分与、あるいは慰謝料的なものも含めた支払いの提示が金額的にも十分で、それとは別に有責配偶者自体が財産分与を受けても、他方配偶者の生活保障は足りているといえれば、有責配偶者からの財産分与を認めてもよいでしょう。
 そうでない場合は、有責配偶者からの財産分与は認めず、遠回りにはなりますが、後日離婚が確定してから財産分与の調停や審判で別に手続きをとるべき、とするのもありえます。
 裁判例でも、有責配偶者からの離婚請求は認めたものの、財産分与に関しては、主張や証拠からみて公平な判断が難しいなどを理由に認めなかったものもあります。
 結局のところは、有責配偶者からの離婚請求の際に判断する要素や、分与対象財産の主張などが十分になされているかを踏まえて個別に判断していくしかないでしょう。

 最近撮影した写真がないので、4月末に撮影しました縮景園での写真を。
 光で反射していて少しわかりづらいですが、多分白い芍薬ではないかと思います。
 芍薬は初夏の季語です。今はちょうど立夏を過ぎたころなので、ちょうど見頃の時期です。
 
縮景園の芍薬

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