コラム

 公開日: 2016-04-21  最終更新日: 2016-04-29

有責配偶者からの離婚請求は認められますか?(2)(「相当長い」別居期間とは)

 有責配偶者からの離婚は、話し合いがつかなくなると、離婚が認められるにあたってのハードルが高い、という話を前回しました。
 前回は、そもそも「有責とはどんなことをいうのか?」を中心にお話しましたので、今回は、離婚を認められるかどうか、最高裁判所が示した3つの要件を中心に見ていきたいと思います。

 

有責配偶者からの離婚と別居期間

 前回触れました、昭和62年の最高裁判所大法廷判決で示された基準をもう一度挙げておきますと、
①年齢・同居期間と比べ相当長い期間別居 
②未成熟の子どもがいない場合(未成年よりは広い)
③離婚により、(有責でない)他方配偶者が、精神的・社会的・経済的に苛酷な状況におかれるといった、離婚請求を認めるべきでない特段の事情がないとき
には、離婚を求める配偶者が有責であっても離婚が認められるというものです。
 この3つの要素は、個々の事案ごとに総合して考慮することになります。上記要件のうち、②・③(特に②)は比較的判断しやすいと思いますが、一番判断に差が出てきやすいのが①の別居期間に関する判断でしょう。
 この、①の「相当長い期間」の「別居」がどんな場合をいうのでしょうか。

 上記最高裁判所の事案は、判決のときで結婚50年、別居期間が約36年と、双方の年齢と同居期間と比べるまでもなく「相当長い」といえるものでした。
 ただ、別居期間については、最高裁判所の判断でも次第に短くなっている傾向があり、この翌年の昭和63年の最高裁判所の判決では、約22年の別居、約16年、約10年あまりの別居でそれぞれ「相当の長期間にわたる別居」と判断されています。もっとも、約10年あまりの別居で離婚を認めた事案は、仕事柄、同居期間がかなり短く、双方ともまだ年齢的に若いことなども考慮されたようです。
 その後は8年あまりの別居では離婚請求が認められたものと棄却されたものとに分かれています。棄却された方は、同居期間22年あまりという事案、認められた方も同居期間はほぼ同じですが、単に数字的にみて、ど別居期間と双方の年齢、同居期間をみるだけでなく、時の経過により変化した諸事情も考慮すべきとしています。
 他の要件のうち、②については、この事案も未成熟の子どもがいないケースですが、別居後も相手方と子どもたちの生活費を支払い続けていたこと・別居後不貞行為をまもなく清算したこと・財産分与で誠意ある提案をしていること、といった事情を考慮していて、主に③の要件を満たすことから、離婚を認めたもののようです。

 これに対して、下級審の裁判例も上記最高裁判所判決の枠組を踏まえているものが多いようですが、やや柔軟に考えるものもみられるようです。
 別居期間6年で、離婚を認めたもの・認めないものと分かれる一方で、1年あまりの別居でも離婚を認めたものもあり、かなり幅が見られます。

 結局のところ、どのくらいなら「相当長期間の別居」といえるかは、裁判官によって判断が異なってくるため、一概にいえないところです。離婚の話し合いがつかず、裁判にまでなったときは6年〜8年くらいは必要とみていた方がよいでしょう。ただ、②、③の要素も含めて、最終に離婚が認められるか判断されることは留意すべきでしょう。
 
広島女学院横の藤棚
 広島女学院横の藤棚の写真。藤棚の下を通るとほのかな香りがしていました。
 暦の上では、穀雨(4月20日)にあたるようです。田畑の準備が整い、それにあわせて春の雨が降るころだそうで、ちょうど今日も雨模様です。晴れているときは、春というより初夏の陽気のことも増えてきました。今年も暑い夏になるのでしょうか…?

 
 
 
 

この記事を書いたプロ

勁草法律事務所 [ホームページ]

弁護士 片島由賀

広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL:082-569-7525

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
弁護士の費用

■ 相談料初回の打ち合わせより、有料です。責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。初回打ち合わせの目安:30分 5,000円(税込) ■弁護...

ご相談の流れ

男女の弁護士がご依頼者様のニーズに応じ、法律相談をお受けしています。勁草法律事務所では、少しでもご依頼者様のお力になりたいとの思いから、夜間・日・祝日...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
片島由賀さん

依頼者の目線に立って問題解決に臨む法律事務所(1/3)

 「疾風に勁草(けいそう)を知る」―困難に遭って初めてその人間の本当の価値や強さが分かること―中国の故事成語に由来して名付けたという勁草法律事務所の名前には、“逆風に遭った時こそ依頼者の力になれる存在でありたい”という強い思いが込められてい...

片島由賀プロに相談してみよう!

中国新聞社 マイベストプロ

会社名 : 勁草法律事務所
住所 : 広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL : 082-569-7525

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

082-569-7525

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

問題が解決し、子供達とうまく関係づくりができて有意義に過ごせています

 協議・調停と(ご自身で)行ったが、話し合いとして全く進...

50歳代・男性
  • 男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
養育費の支払いと預金口座特定に関する法改正について
イメージ

  養育費の支払い合意は6割どまり  養育費の支払いについては、平成24年4月の民法改正後、「夫婦の協議...

[ 養育費 ]

年金受給年齢前後の離婚では、離婚しないときと年金額がどう違いますか?
イメージ

 年金受給開始年齢に近くなってから、あるいは受給開始年齢後に離婚する、となると将来の生活面での収入が基本的...

[ 年金分割 ]

離婚が成立しましたがどんな手続きをとる必要がありますか?
イメージ

 話し合いで離婚が成立した場合はもちろんのこと、調停や裁判で離婚となった場合にも、その後色々な手続きを行う...

[ その他(健康保険・年金) ]

婚姻費用の支払いから、生活費などの一部負担としてどこまで考慮されるでしょうか?
イメージ

 前回から随分と日にちが空いてしまいましたが、今回はしばしば問題となる、婚姻費用の支払いを求められている場...

[ 婚姻費用 ]

婚姻費用の請求はいつの時点から認められますか?
イメージ

 婚姻費用には衣食住の費用、医療費、娯楽費、交際費、老後や将来のための準備、未成熟子の養育費・教育費などの...

[ 婚姻費用 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ