コラム

 公開日: 2015-12-07 

別居時のお金の持ち出しと生活費の支払

 ここ最近また寒さが増して来ました。昨日は日が照らなかったため、寒い1日でした。平和大通りのイルミネーションも賑やかになり、年の瀬も近づいてきているという感じがします。
 岡山・護国神社
 先月初めて行きました、岡山の護国神社です。ここは戦災を免れ、明治創建の建物がそのまま残っています。ずっと昔に県北の木造の小学校(今もあるかわかりませんが…)を見に行ったとき、古い木のいい香りがしていたのをよく覚えていますが、この神社でも湿気とともに古い木の香りが漂っていました。
 こういった古い木造建築はいつまでも大切に保存してほしいものです。

 さて、今日は子どもをめぐる問題から少し離れて、別居時のお金の持ち出しがあったとき、婚姻費用との関係をどうみるかということをお話したいと思います。

別居時のお金の持ち出しは婚姻費用?それとも財産分与で考慮?

 夫婦仲が悪くなり、一方(大抵妻だと思いますが)が子どもを連れて家を出るとき、まとまったお金を持っていくということがよくあります。
 その後、出て行った方から離婚までの生活費を支払うよう求められたとき、持ち出したお金を生活費(婚姻費用)とみるか、それとも財産分与とみて、清算をする際に考慮すべきかが問題になります。
 
 まとまったお金をもって出て行かれた方からすると、当面の生活費は持ち出したお金でまかなえるのであれば、それでやりくりして欲しい、さらに生活費まで払えと言われても…という言い分になることもあるでしょう。
 婚姻費用については、民法上、夫婦はその資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻費用を分担するとの定めがあるため、この持ち出しを「資産」とみると、それを含めて金額を決めるべきとも思えます。
 
 しかし、そもそも生活費(婚姻費用)は離婚成立に至るまで、日々発生する生活に関連するお金ですので、資産についてどこまで(範囲や使途など)考慮するかが問題になると、月々いくら支払うべきか定めるのに時間がかかってしまいます。
 そのため、持ち出したお金とは別に、双方の収入に応じて支払うべき額を定めるべきであり、持ち出したお金は離婚時の財産分与の清算として考慮すれば足りるといえます。今の裁判例はこういった考えに基づくのが一般的のようです。

支払義務者の収入を超えた金銭の持ち出しの場合は?

 ただ、生活費を支払う義務がある者の収入を超えた金額の持ち出しがあった場合まで、持ち出し分とは別に生活費の支払を求めるのは酷なことがあります。
 相手方が支払義務者の年収の1.5倍以上にあたる多額のお金を持ち出したというケースでは、8割近のお金が持ち出しをした方の手元に残っており、しかも支払義務者は生活費にあてることを認めていることから、当面の間は持ち出したお金を生活費に当てられるとして、婚姻費用の請求を認めなかったという裁判例があります。
 
 結局のところ、別居時の持ち出しについては、持ち出した額と、特に義務者の収入との兼ね合いからケースバイケースで考えていくほかないように思われます。

■ 関連コラム:目次
 過去の生活費の支払がされていないとき
 生活費の支払の話がつかないとき

 
 

この記事を書いたプロ

勁草法律事務所 [ホームページ]

弁護士 片島由賀

広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL:082-569-7525

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
弁護士の費用

■ 相談料初回の打ち合わせより、有料です。責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。初回打ち合わせの目安:30分 5,000円(税込) ■弁護...

ご相談の流れ

男女の弁護士がご依頼者様のニーズに応じ、法律相談をお受けしています。勁草法律事務所では、少しでもご依頼者様のお力になりたいとの思いから、夜間・日・祝日...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
片島由賀さん

依頼者の目線に立って問題解決に臨む法律事務所(1/3)

 「疾風に勁草(けいそう)を知る」―困難に遭って初めてその人間の本当の価値や強さが分かること―中国の故事成語に由来して名付けたという勁草法律事務所の名前には、“逆風に遭った時こそ依頼者の力になれる存在でありたい”という強い思いが込められてい...

片島由賀プロに相談してみよう!

中国新聞社 マイベストプロ

逆風を追い風に変えるべく伴奏・伴走する存在であり続けます

会社名 : 勁草法律事務所
住所 : 広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL : 082-569-7525

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

082-569-7525

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

親切な対応で良かったです

親切で良かったです。また何かあった時にはお願いしたいと思...

30代・男性
  • 男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
養育費の支払いは時効にかかりますか?
イメージ

 話し合いで離婚するときには、子どもの親権者の取り決めが必要ですが、それ以外にも面会交流や養育費についても...

[ 養育費 ]

親権者の一方が子どもを連れ去ったときは犯罪にあたりますか?
イメージ

 先日、親権者の一方が自分の親族らとともに、子どもがいる他方の実家に行き、子どもを連れ去った・ないし連れ去...

[ 親権 ]

別居が長引いているときでも財産分与は別居当時が基準ですか?
イメージ

離婚を申し入れているが、相手が応じない、あるいは離婚自体には合意しているが、子どもの親権や面会交流、あるい...

[ 財産分与 ]

離婚するのにどのくらい時間がかかりますか?
イメージ

 離婚したいと思うが、どのくらい時間がかかるのでしょうか?ーご相談の際によくご質問を頂きますが、結論として...

[ 協議離婚 ]

内縁関係のうちにかかった生活費は内縁解消後に支払ってもらえますか?
イメージ

 内縁関係であっても、一緒に暮らしている間に生活費(食費・日用品費・医療費など)がかかるのは、入籍をしてい...

[ 内縁・事実婚 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ