コラム

 公開日: 2015-07-18  最終更新日: 2015-10-29

離婚後の養育費の支払いについて(3)

 これまで、離婚の際に養育費の額を一旦決めたものの、事情が変わり、金額の変更を求めることができる場合を中心にお話してしました。
 
 今回は、決められた養育費について支払いがされないときについて、取り上げたいと思います。

 養育費を決めたといっても、どういう形で取り決めをしているかによって、その後とるべき手続きが変わってきます。
 話し合い(協議)で離婚をし、そのとき養育費を取り決めたものの、単なる口約束であれば、約束違反があっても、ただちに強制力をもった手段をとることはできません。そもそも支払いがない場合、話し合いで再度決めることができないのが通常でしょう。そうであれば、養育費の支払いを求める調停を家庭裁判所に申立てて、その中できちんと金額を決めて、調停調書という、もし支払いがなければそれにより強制的に未払養育費を回収できるような書面を作ってもらうことになります。

 これに対して、決めた養育費について、公証人役場で公正証書という、のちのち強制力をもった手段がとれる書面を作っている、あるいは離婚調停の中で養育費についても取り決めて、調書にした、あるいは離婚裁判で和解、判決の中で養育費の定めをした、そうであるにもかかわらず、支払いがされないときは、公正証書・調停調書、和解調書や判決書を根拠に、裁判所に、相手の資産・給与の差し押さえを求める手続きをいきなりとることも可能です。

 ただ、とくに給与の差し押さえとなると相手の勤め先に当然分かってしまうことから、差し押さえをすることで、相手が会社にいずらくなり、やめられては困る、とちゅうちょするケースもあるでしょう。それに子どもの生活にかかわるお金なので、できれば自主的に支払いをしてもらいたいところです。

 養育費の未払(生活費の未払もですが)のときは、そういった強制的な差し押さえの手段をとる前に、まずは家庭裁判所から、養育費の支払状況を調査の上、支払いをするよういってもらう、履行勧告という方法があります。支払いを受ける人からいうよりも、家庭裁判所という公の機関からいってもらうことで、相手にも心理的な強制力が働き、支払いをしてもらえることもあります。

 ただ、それでも支払いがされないのであれば、履行勧告には強制力がないため、支払うよう、家庭裁判所から命じてもらう、履行命令、それでも支払いがないなら、結局のところ給与の差し押さえといった強制執行によらざるをえません。

 養育費のように扶養に関するお金に関して、定期的に支払われる債権への差し押さえは、通常の差し押さえと異なり、給与から社会保険料などを控除した額の1/4という制限ではなく、1/2まで差し押さえができる上、1度未払があればいまだ支払い期限がきていない、将来の養育費分までも一度の申立により、取立てできるというメリットがあります。

 しかし、このメリットもあくまで相手にきちんとした収入があることが前提なので、定職についていない、あるいは離婚後勤め先が変わり、どこに勤めているかわからないという場合などは、給与の差し押さえによる回収は難しいでしょう。

 養育費は、お子様の年齢によっては、かなり長期にわたっての支払いになるもの。金額を決めるときはもちろんですが、その後の支払いがきちんと確保できるような備えをしておくことが大切でしょう。


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