コラム

 公開日: 2016-10-31  最終更新日: 2018-03-19

婚姻費用の支払いから、生活費などの一部負担としてどこまで考慮されるでしょうか?

 前回から随分と日にちが空いてしまいましたが、今回はしばしば問題となる、婚姻費用の支払いを求められている場合、他方(支払いを求める側・以下「権利者」といいます)の生活費の一部といえるような支払いがあった場合、どこまで婚姻費用の支払いとみなされるか、ということを取り上げたいと思います。

公共料金の支払い・それに準じるといえるものは考慮

 しばしばあるのは、支払いをしている者(以下「義務者」といいます)が家を出ているが、公共料金(電気・水道・ガス)、あるいはそれに準じるといえる固定電話代、最近ではインターネット回線の使用料について、契約者がその出て行った義務者になっていたり、口座からの引き落としになっていることから、別居後も引き続き支払いをしている場合、考慮されるかというものです。
 このような場合、こういった電気など使用して利益を得ているのは権利者であり、婚姻費用として月々支払われるものから、公共料金などを支払うべきですから、もしこのようなお金を義務者が引き続き払っていると、その分は婚姻費用の金額から控除されることになります。

マンションの修繕積立金は資産形成にあたるとして控除されないことも

 これに対して、別居前に夫婦が同居していたマンション(結婚後に購入したことが前提)の修繕積立金を義務者が支払っている場合はどうでしょうか。
 あるいは、義務者の名義になっている自宅やマンションの固定資産税・火災保険料といったものはどう考えるべきでしょうか。
 マンションの修繕積立金については名義人となっている義務者の資産形成にあたるとして、双方の収入などに応じて控除した裁判例があります。
 また、固定資産税や火災保険料は名義人の資産を維持するための経費としての側面があり、そこに住む権利者らの生活に即結びつくものとは言い難いといえます。そのため、差し引くことは認められないことが多いでしょう。現に裁判例でも控除を認めなかったものがあります。
 ただし、マンションの管理費については、住んでいる権利者が本来支払いをすべきとして控除をしているものもみられます。

自動車保険料は使用している者負担になる可能性

 それでは、自動車は権利者が使用しているが、保険料を義務者が支払っている場合はどうでしょうか。この場合にも、住宅の火災保険料と同じように考えれば、資産(自動車)を維持するための経費とみて、名義人が義務者なら、婚姻費用から控除しないということにもなりそうです。
 しかし、自動車を現に使用するには、自賠責保険はもちろん、任意保険の支払いも通常する必要があることから、その支払いは控除すべきとする裁判例もあります。自動車の場合は、所有者が自動車損害賠償保障法上、運行供用者としての責任を負わなければならなくなる場合もありますから、それに備えて保険に入っているとみれば、必ずしも使用しているものだけが負担すべきといえないケースもあるように思われます。ですから、この部分は裁判例によって判断が分かれる可能性があるでしょう。

 10月の下旬になると,暦の上では「霜降」,つまり霜が降りるほど寒くなる時期のようです。確かに朝や日が落ちたあとは寒さを感じることが増えてきました。11月に入ると、急に気温が下がるようですので、風邪には気をつけましょう。
広島駅近く?の並木
 昨年のものですが11月上旬の広島駅近くの通りの写真です。まだ今のところ紅葉していないようですが、寒くなると一気にこんな感じに色づくかもしれません。

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生活費の支払の話がつかないとき
親への仕送りや借入れの返済は生活費・養育費の支払いで考慮されますか
生活費(婚姻費用)の支払いで、海外在住による生活水準の違いは考慮されますか



 


 
 
 
 
 

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