コラム

 公開日: 2016-09-20  最終更新日: 2016-09-22

婚姻費用の請求はいつの時点から認められますか?

 婚姻費用には衣食住の費用、医療費、娯楽費、交際費、老後や将来のための準備、未成熟子の養育費・教育費などの諸費用が含まれます。 
 夫婦は、同居する義務のほか、お互い助け合って協力し合う義務(これを、「扶助協力義務」といいます)があります。そのため、婚姻費用についても、お互い分担することになるので、たとえ別居していても、より収入が多い方が他方と子どもに対する生活費として、双方の収入に応じた割合で支払いを負担しなければなりません。

 それでは、この、婚姻費用の請求はいつの時点から支払いを認められるでしょうか?

婚姻費用の支払いについては調停申立時点から認められるのが多い

 婚姻費用は日々発生するため、別居しているのが分かっている以上、別居により夫婦の一方が扶養してもらう必要が出てきたとき(つまり別居時点)から支払いを求められるという考え方があります。そうなると、別居後何年も経ってから、別居した時点以後の婚姻費用の支払いをすべて求められるようにも思えます。
 しかし、実際に請求を受けたときに他方に扶養が必要と分かることもあります。また、別居後からの婚姻費用全部の支払いをしないといけなくなると、定期的に婚姻費用を支払うよりも、負担が重くなりすぎることがあります。
 さらに、婚姻費用は先に述べましたような諸費用ですから、定期的に日ごとに発生します。そのため、遡って充当するといっても現実的には難しいといえます。
そのため、普通は調停申立てのときに請求の意思が明示されているとして、その時点からとする裁判例の方がよくみられるところです。
 ただ、婚姻費用分担調停申し立ての経緯や、金額の取り決めの状況を踏まえ、暫定的にミルク代のみ支払いの合意ができていたときに、その時点からとした事例もみられるところで、やや判断が分かれているところです。

 それでは、未払いの婚姻費用は調停申立てのとき以前の分は一切請求できないのでしょうか。

未払の婚姻費用は財産分与の中で考慮されることも


 未払いの婚姻費用については、離婚の話になったときに「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情」に含まれるとして、財産分与の中で考慮していくことになります。
 ですから、婚姻費用について、請求が遅れたために支払いを受けるべき金額があれば、財産分与の請求の中で、忘れずに過去の未払婚姻費用の請求をすべきでしょう。
ただし、財産分与の際に未払婚姻費用の清算をするとなると、金額的には今ある財産を超えてしまう可能性があります。
そのため、定期金給付債権(婚姻費用もこれにあたると考えられています)の時効期間が5年であることから、過去5年についてのみ認めている裁判例があります。
金額については、すでに婚姻費用について調停・審判による判断があれば、その金額を基本に考えていくことになります。
そういった判断がないときは、双方の収入に応じたものが自動的に認められると限られず、未払婚姻費用を除いた財産分与の額がいくらになるか・双方の収入・生活状況から具体的に決めていくことになる点には注意が必要です。

 もうすぐ、1日の中で昼の時間と夜の時間がほぼ同じになる、秋分になります。
 あいもかわらず、次々と台風が現れますが、少しずつ秋を感じることが増えて来ました。先日は昼間に赤とんぼが飛んでいるのを見ましたし、夜になると虫の音がよく聞こえるようになりました。スーパーでも梨やブドウといった秋の果物が多くなってきました。気がつくともう今年も3カ月余りと、時が経つのは早いですね。いつもこの頃になるとそんなことを考えている気がします。

中央公園の鯉像
 雨の中撮ったため、画像が見えづらいですが鯉の像です。せっかくですのでカープには是非日本一になってもらいたいものです。

この記事を書いたプロ

勁草法律事務所 [ホームページ]

弁護士 片島由賀

広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL:082-569-7525

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
弁護士の費用

■ 相談料初回の打ち合わせより、有料です。責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。初回打ち合わせの目安:30分 5,000円(税込) ■弁護...

ご相談の流れ

男女の弁護士がご依頼者様のニーズに応じ、法律相談をお受けしています。勁草法律事務所では、少しでもご依頼者様のお力になりたいとの思いから、夜間・日・祝日...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
片島由賀さん

依頼者の目線に立って問題解決に臨む法律事務所(1/3)

 「疾風に勁草(けいそう)を知る」―困難に遭って初めてその人間の本当の価値や強さが分かること―中国の故事成語に由来して名付けたという勁草法律事務所の名前には、“逆風に遭った時こそ依頼者の力になれる存在でありたい”という強い思いが込められてい...

片島由賀プロに相談してみよう!

中国新聞社 マイベストプロ

逆風を追い風に変えるべく伴奏・伴走する存在であり続けます

会社名 : 勁草法律事務所
住所 : 広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL : 082-569-7525

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

082-569-7525

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

親切な対応で良かったです

親切で良かったです。また何かあった時にはお願いしたいと思...

30代・男性
  • 男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
親権者の一方が子どもを連れ去ったときは犯罪にあたりますか?
イメージ

 先日、親権者の一方が自分の親族らとともに、子どもがいる他方の実家に行き、子どもを連れ去った・ないし連れ去...

[ 親権 ]

別居が長引いているときでも財産分与は別居当時が基準ですか?
イメージ

離婚を申し入れているが、相手が応じない、あるいは離婚自体には合意しているが、子どもの親権や面会交流、あるい...

[ 財産分与 ]

離婚するのにどのくらい時間がかかりますか?
イメージ

 離婚したいと思うが、どのくらい時間がかかるのでしょうか?ーご相談の際によくご質問を頂きますが、結論として...

[ 協議離婚 ]

内縁関係のうちにかかった生活費は内縁解消後に支払ってもらえますか?
イメージ

 内縁関係であっても、一緒に暮らしている間に生活費(食費・日用品費・医療費など)がかかるのは、入籍をしてい...

[ 内縁・事実婚 ]

事実婚(内縁関係)で同居中相手方が死亡した場合に今の住居に住み続けられますか?
イメージ

 事実婚(内縁関係)のまま、戸籍を入れることなく、相手方契約の賃貸物件に一緒に住んでいる、あるいは相手方所...

[ 内縁・事実婚 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ