コラム

 公開日: 2016-08-09 

養育費を求めないことで合意したあと、相手に支払いを求められますか?

 夫婦で離婚の話し合いをしている中で、子どもの親権者をどちらにするかで対立し、話し合いが長くなるのを避けるため、養育費を求めない代わりに親権者となる合意をして離婚した、こういった場合、その後生活に困ってから再度養育費を支払うよう、収入がある相手に求めることができるでしょうか?

養育費の分担で相手側負担をなしにできる?

 上記の合意については法的な捉え方としては色々ありますが、一つに養育費を夫婦で負担するのを前提に、一方(妻)が他方(夫)の負担をなしとする約束をした、とみることができます。
 この場合には、夫婦の間での負担割合の話ですから、有効とはいえます。
 ただし、養育費はあくまでも子どものための生活費として必要なものですから、本来子どもが衣食住・あるいは教育を受けるなどにあたり必要な金額として、一方が負担する額では足りないにもかかわらず、他方への請求をしないとなると、子どもの健全な成長にとっては不利益な場合もあります。
 そのため、上記のような、養育費を一方が他方に請求しないというのは、あくまでも夫婦の間でのことであって、子どもから他方の親に扶養にあたって必要な金額の支払いを求めることは可能と考えられています。
 また、養育費の負担について、上記のような合意がされていても、
・内容が著しく子どもに不利益で子の福祉を害するときは子どもは合意に拘束されることなく請求できる
・合意をしたあとに事情が変わり合意内容を変える必要が出てきたときは扶養料の請求や金額をあげるよう求められる
という裁判例もあります。

子どもの代わりに親への扶養料請求は放棄できない

 また、そもそもこういった扶養に関する子どもの権利を親が代わりに(法定代理人として)請求しない、つまり請求を放棄することができるのでしょうか。
 結論的には、民法上親が子どもの代わりに扶養料請求を放棄できません。
 ですから、仮に一方の親が扶養料は求めず、放棄したとしても、その行為は無効になります。

 したがって、双方の収入などからみて、それぞれ養育費の支払いを負担すべき状況であれば、子どもの方から扶養料の支払いを求められますし、請求しないとした親も、それが扶養料請求の放棄であれば無効だと主張できます。
 また、夫婦で合意をしたあと、たとえば当初請求しなくてもやっていけると思っていた元妻が会社の業績悪化で収入が下がり、元夫の協力なしで子どもを十分に育てるのが難しい経済状況になったときは、養育費を支払うよう求めることもできます。
 
 夫婦の離婚が、子どもが小さいうちであればあるほど、その後の事情は変動しやすくなります。
 結局のところ、子どもが健やかに育つには、どのような養育費の負担の仕方がいいのかという観点から見直すことが必要になってくるでしょう。

 
鳴滝森林公園の滝
 昨年もコラムにアップしていますが、先日岡山・吉備中央町の鳴滝森林公園に行ってきたときの滝の写真です。
 時間が少し遅かったのですが、水量が前回よりも多くて、猛暑に涼を呼ぶ光景でした。
 滝までの歩道が整備されて、歩きやすくなっていました。岡山市からですと(下道だと)車で50分くらいでしょうか。私の好きな滝が多い津山・新見は1時間30分以上かかるようですので、滝を見に行くにはまだ行きやすい距離だと思います。
 


 
 

この記事を書いたプロ

勁草法律事務所 [ホームページ]

弁護士 片島由賀

広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL:082-569-7525

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
弁護士の費用

■ 相談料初回の打ち合わせより、有料です。責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。初回打ち合わせの目安:30分 5,000円(税込) ■弁護...

ご相談の流れ

男女の弁護士がご依頼者様のニーズに応じ、法律相談をお受けしています。勁草法律事務所では、少しでもご依頼者様のお力になりたいとの思いから、夜間・日・祝日...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
片島由賀さん

依頼者の目線に立って問題解決に臨む法律事務所(1/3)

 「疾風に勁草(けいそう)を知る」―困難に遭って初めてその人間の本当の価値や強さが分かること―中国の故事成語に由来して名付けたという勁草法律事務所の名前には、“逆風に遭った時こそ依頼者の力になれる存在でありたい”という強い思いが込められてい...

片島由賀プロに相談してみよう!

中国新聞社 マイベストプロ

会社名 : 勁草法律事務所
住所 : 広島県広島市南区的場町1-2-16 グリーンタワー5F [地図]
TEL : 082-569-7525

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

082-569-7525

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

片島由賀(かたしまゆか)

勁草法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

問題が解決し、子供達とうまく関係づくりができて有意義に過ごせています

 協議・調停と(ご自身で)行ったが、話し合いとして全く進...

50歳代・男性
  • 男性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
離婚調停で慰謝料の金額に争いがある場合
イメージ

夫婦で離婚に向けての話し合いをしたものの、話し合いがつかない場合には、裁判所での手続きを利用した、離婚調停...

[ 慰謝料 ]

算定表より少ない金額で養育費の合意をした後変更が認められますか?
イメージ

 以前に養育費を求めない合意をしたあとで、養育費の支払いを求める請求をした場合について触れました(養育費を...

[ 養育費 ]

養育費と支払う側・支払いを受ける側の収入
イメージ

 養育費の金額を決めるにあたっては、裁判所で使う、いわゆる養育費の算定方式・算定表によるというのは既にご存...

[ 養育費 ]

児童扶養手当の受け取りと養育費の受け取り
イメージ

 離婚をしたあと、子どもを引き取った親は、それまで相手と同じ世帯で子どもを育てていた場合と違って、何かと支...

[ 養育費 ]

夫婦の一方が家を出たとき同居を求める方法は?
イメージ

 法律では夫婦は同居し、互いに協力し助け合わなければならないと定められています。最近は仕事の都合や子どもの...

[ 離婚原因 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ