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コラム
公開日: 2010-12-26 最終更新日: 2011-02-12
神社考 【3】 神社の成り立ち-2-
前回に引き続き、神社の成り立ちについての諸説を紹介します。
なお、これらは、私が古代史研究をしてきた中での理解ですので、実際の説と多少異なるところがあるかもしれませんが、ご容赦ください。
3 航行安全祈願説
古代は、道路が発達していたわけではなく、大和時代のように馬が普及したわけでもありませんので、交通と言えば、船、海でした。
しかし、古代の船は素朴なものであり、海の状態についての知識も限られていましたので、航行の安全は、死活問題でした。
そこで、航行の安全を祈願するために、神社が建立されたというものです。
代表的なのは、住吉大社。三大社は、大阪、下関、福岡にありますが、いずれも古代の海の要所です。当時の海岸沿いに建てられています。
広島も、中心部の本川沿いに、住吉神社があります。ちなみに、私の氏神になります。
ちょっと話がわき道に逸れますが、下関がある関門海峡は、潮流が激しく、難所であるとともに、船のキーステーションでした。
当時は、遠賀川も、洞海湾を経て、関門海峡に繋がっていました。遠賀川と言えば弥生時代の遠賀川式土器で有名ですが、弥生時代後期からぷっつりと生活の跡が途絶えており、東に移住したとみられます。
「瀬戸際」(せとぎわ)という言葉がありますが、多くの人は、これを「崖っぷち」と同じような意味と誤解しています。
しかし、「瀬戸」は、海峡を意味します。
海峡に囲まれた海だから、「瀬戸内海」というわけです。
「瀬戸際」というのは、船が瀬戸を出るときに、岸が左右に分かれており、どちらに行くかの分かれ道だ、ということです。
つまり「瀬戸際」とは、分かれ道を意味するのであり、危ないとか追い詰められたとかいう意味はまったくありません。
住吉大社の話に戻りますが、モチーフになったのは、オリオン座の三ツ星ではないかと言われています。
暗い夜に航行する場合、方角の基準は北の北極星ですが、北極星が見えない場合、オリオン座の三ツ星を見ます。
三ツ星は、東の空に縦に並んで出てきて、南の空で横になり、西の空でまた縦に並んで沈みます。
つまり、一環して東から西の方向を指して並んでいるのです。
神社の祭神の数が三柱とすることが多いのも、ここから来ているのかもしれない、とも言われます。
住吉大社は、大和朝廷の外港である難波津から、瀬戸内海を通って関門海峡、そして博多津という、古代のハイウェイの守り神だったのかもしれません。
住吉神社には、農業と降雨に関わると思われるふつうの形状の鳥居はありません。
また、「三輪神社」の命名にも、三ツ星が関係しているかもしれません。
なお、九州から朝鮮半島にかけては、福岡県宗像市にある宗像大社の担当です。
「宗像三女神」と言われ、天照大神と須佐男とのうけいにより生まれた、3人の女神とされます。
また「三つ」が出てきます。
ここでは、1つの神社の中に三柱ではなく、奥津宮、中津宮、沖津宮と、3つの社殿を分けて、航路沿いに建てていることが注目されます。
いずれにせよ、「三女神」というのは、航海の守り神であったオリオンの三ツ星から来ている可能性もあります。
この宗像大社の祭神である市耒姫(いちきひめ)を移したのが、広島にある厳島神社です。
厳島神社は、平清盛が建てたと言われていますが、実際には遅くとも7~8世紀頃には存在しており、平の清盛がなしたのは、再建・増築の類に過ぎません。
厳島神社と対岸の廿日市・大野の間は、かなり狭い海峡になっており、西の九州方向から来て、そのまま北の沿岸沿いに行くと、府中など広島湾の奥や海田沖を通ったあげく、音頭の近くまで南下し、また北にUターンして、大柿島の西から北を通り、ぐるっと回って能美島の西岸を南下して通るなど、めちゃくちゃな回り道を強いられます。
音戸ノ瀬戸は、平の清盛が切り開いたとされますが、ここを航行できることによって、回り道の負担が一定程度減りました。
しかし、音頭の瀬戸を航行できなかったころは、厳島をぐるーっと回ってショートカットし、厳島東岸から直接、能美島西側に出て、南下するのが近道です。
古代人とて暇ではなく、このショートカット航路を使わなかったはずがありません。
そう考えると、厳島神社は、もともと海峡から出る「瀬戸際」において、近道として向かうべき方向を示す道しるべのために建てられたのかもしれません。
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